つるりんさんが御指摘のようにオバマ政権の政策に対する不信として共和党への支持が広がっており、それは決して「積極的支持」ではなく、「消極的支持」であり、各種世論調査でも議会共和党に対する米有権者の支持は議会民主党のそれと同様に極めて低いレベルで推移しています。また、1994年のNewt Gingrichに率いられた中間選挙キャンペーン当時の「Contract with America」と比較すると共和党指導部の米国民向けメッセージも今回は具体性を欠いており、オバマ政権の政策批判の方が目立つ印象があります。 共和党が来年1月に開会される第112議会で米有権者の期待を裏切った場合、とてつもないエネルギーは共和党に"backfire"して、大きな失望へと代わってしまうリスクがあるのではないかと個人的につるりんさんに同感です。
アメリカでは、ティーパーティーや、先の大統領選挙におけるオバマ支持派の運動等、グラスルーツデモクラシーが政治の動向の影響を及ぼしてきているように思います。
政治学的には、現代社会は巨大化・複雑化しているため、一般の人々は政治的アパシーになるという傾向があると分析されているかと思いますが、米国のグラスルーツデモクラシーはこの傾向とは反対のベクトルだといえます。
グラスルーツデモクラシーは、主権者が直接政治・政策に影響を及ぼしうるという意味では、民主主義の理念に近く、『理想型』としては望ましいという見方が出てきます。
その一方で、所謂「マス」の人々が高所から見た観点で政治・政策を語りうるのかというと、それはできない。よって、高所から物事を考え、判断する代議士が必要なのでしょうが、グラスルーツデモクラシーはこの代議制の根本を揺さぶりつつあるという見方も出てくるかと思います。
グラスルーツデモクラシーが出てきた背景には、米国建国の精神からくる発想、ネットの普及、小集団が共同体的な心的結合を作り出している、宣伝技術の巧妙化等、種々の要因を孕んでいるのだと思います。アメリカにおいてグラスルーツデモクラシーが発展しつつある背景を分析した記事があると、更にティーパーティー運動理解が、読者として深まると感じた次第です。
追記すると、昨今の世論調査により政策の是非を判断するかのようなマスコミの報道、民主党代表戦における異常なまでの世論の強調等、我が国も形を変えた直接民主制の発想が出てきつつあるのじゃないかと感じています。
アメリカのグラスルーツデモクラシーの分析は、日本政治を理解する上でも役立つのじゃないかと思っています。