クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

オサマ 生きていても死んだも同然

執筆者:徳岡孝夫 2002年9月号
エリア: 中東 北米 アジア

 去年の九月十一日、ニューヨークとワシントンがテロにやられる日まで、ブッシュ米大統領とホワイトハウスはロクな中東政策を持たず、ましてアフガニスタンのことなど考えたこともなかった。 その間に、ヒンズークシに泥の家を建てて住むアル・カエダは、パレスチナのユダヤ国家を抹殺するため、イスラエルの大旦那であるアメリカの心臓部を衝く計画を練り、手はずを整え、旅客機を乗っ取って自爆し、何の罪もない三千人を殺し、ニューヨークの摩天楼群の中で最も美しい双柱を根こそぎにした。 それから一年が過ぎた。アメリカは覚醒したが、テロリストに動機を与えた中東の紛争は、解決の糸口すら見えない。

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執筆者プロフィール
徳岡孝夫(とくおかたかお) 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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