1991年生まれは何に感動?

執筆者:梅田望夫2004年8月号

 ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズ。パーソナルコンピューティングの時代を切り拓いた二人の天才は、ともに一九五五年に生まれた。大学に入ってまもなく会社を興した点も同じで、マイクロソフトは一九七五年に、アップルもそれに遅れること一年、一九七六年に創業された。早いもので来年は、ゲイツとジョブズが五十歳になる。 コンピュータ産業では、二十年に一度「破壊的な技術」が登場して産業秩序を覆す。十代のゲイツとジョブズは、一九七〇年代前半の「パーソナルコンピューティングの息吹」という産業史上第一の「破壊的な技術」に感動した。当時のコンピュータは「高価な共有財産」だったから、いくら魅せられても、自由に好きなだけ使うなんてことは夢のまた夢だった。だから「コンピュータを私有して好きなだけ使うことができる」パーソナルコンピューティングの可能性に、ゲイツとジョブズは感動したのである。そしてその十代の感動が、今日のマイクロソフトとアップルを生み出した。 私はこの二人よりも五歳年下である。しかし慶應義塾の一貫教育に育ったおかげで、中学に進んだ一九七三年から、大学の大型コンピュータ施設へのアクセスを許された。だから当時のコンピューティング環境がどんなものだったか、身体がよく覚えている。

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