三位一体改革「三つ巴の戦い」

執筆者:2004年8月号

 国と地方の税・財政の改革を進める「三位一体の改革」の先行きが危ぶまれている。当初、争点は税源を巡る財務、総務両省の綱引きとみられていたが、義務教育費国庫負担金の削減に反発する文部科学省が参戦し、霞が関では三つ巴の戦いが繰り広げられている。地方でも、税源が豊かな都市部と乏しい過疎地域の利害の衝突が顕在化しつつある。政府は今秋、改革の進め方を示す工程表をまとめる方針だが、関係者の改革に賭ける思いは、まさに「同床異夢」。解消するのは容易でなさそうだ。 改めて説明すると三位一体の改革とは、国と地方自治体の行財政改革と、地方の権限拡大による地方自治強化が目的で、(1)補助金の改革(2)地方交付税の改革(3)国から地方への税源移譲――の三つを目指している。国が不要と判断した地方自治体への補助金を削減する代わり、国からの税源移譲、交付金によって、地方が実施する事業の財源を手当てする仕組みだ。 政府が六月四日に閣議決定した「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四」(骨太の方針第四弾)は、国から地方への税源移譲について〇六年度までに「三兆円規模を目指す」と明記した。ただ、その前提として「地方公共団体に対して国庫補助負担金(補助金)改革の具体案を取りまとめるよう要請し、これを踏まえ検討する」という表現も盛り込み、地方自治体自らが補助金削減の具体案をまとめることを税源移譲の事実上の条件と位置付けた。

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