あまりにも根深い日本警察「不正経理」問題

執筆者:高田昌幸2004年8月号

不正を取り締まるはずの警察組織こそが、不正の温床だった。裏金を残す部下が「できるヤツ」と評価されてしまう構造とは――「道警全体で裏金づくりをしていた。その事実を公式に認めることを留保することに、もはや、意味はない。できるだけ早く(組織的不正を認めて)公表すべきだとの声が内部で強まっている」 六月三十日。北海道警察のある有力幹部は、われわれ取材班にこう語った。 旭川中央警察署を舞台にした捜査用報償費の不正支出(裏金)疑惑が発覚してから七カ月。当初、「不正経理はない」と明言していた芦刈勝治・道警本部長が、七月十三日の道議会総務委員会に出席して「少なくとも二〇〇〇年度までは、道警の全部署で不適正経理があった」と表明し、道民に謝罪する見通しだった。その後、警察庁との調整などに時間を要し、表明時期は九月の定例道議会にずれ込む見込みとなったが、方針自体に変わりはない。組織全体での裏金づくりを公式に認めるのは、全国の警察でも例がないことである。 これまで警察は「私的流用」や「組織ぐるみの不正」、また「幹部や上層部の関与」を頑なに否定し、「一部の人間による犯罪」として矮小化しようと躍起になってきた。しかし、道警を発火点とする裏金問題は静岡、京都、高知、愛媛、福岡などの各警察に飛び火し、燎原の火の如く燃え広がっている。

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