タシケント便の謎

執筆者:竹田いさみ2004年8月号

 中央アジアの内陸国、ウズベキスタンの首都タシケントへ向かう機上。歴史の彼方へ消えた幻影都市楼蘭、荒涼としたタクラマカン砂漠を眺めながら、「異邦人」などのミュージックを聞きつつ、シルクロード交易の難所であった天山山脈を楽々と飛び越えて、数時間後には目的地へ到着する「はず」であった。 しかし現実には、太陽の代わりに月が登場し、眼下には闇の世界が広がるのみ。機内はミュージックを聞けるような環境ではなく、会話をするにも大声を張り上げなければならないほど、ジェットエンジンの騒音が激しかった。本来であれば中古であっても欧州製のエアバス機で、一応は快適な空の旅がエンジョイできる「はず」であったが、機体は予想外で、しかも最悪のロシア製イリューシン62型機だった。 昨秋、国際セミナー出席のためタシケントへ旅することになった私は、まず、成田発ソウル経由のアシアナ航空機を予約しようとした。中央アジアには朝鮮族が少なからず住み、ビジネスも盛んとあって、韓国の航空会社は定期便を飛ばしているのだ。しかし、すでに満員。次善の策として考えた関空発ウズベキスタン国営航空の直行便も、日本人観光客でなんと満席だという。結局、ガイドブックの旅は捨て、成田からバンコクまで飛び、そこからウズベキスタン航空でタシケントに向かうことにした。

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