ソフトバンクに脅えるNTTドコモ

執筆者:2004年9月号

 NTTの凋落が止まらない。目下の最大の脅威は、日本テレコムを買収して、一気に全国約一万三千カ所の携帯電話用基地局用地を確保したソフトバンク。NTTドコモの第三世代携帯電話「FOMA」に匹敵するエリアをカバーすることが可能となった。 しかも、ソフトバンクは携帯電話をIP(インターネットプロトコル)方式で提供する計画。NTTグループの稼ぎ頭であるドコモすら、「ソフトバンクによるIP電話参入で、固定電話事業が大幅な減収を迫られたのと同じ構図」(NTT幹部)を強いられる。 そのドコモは、データ通信料に定額制を導入するため、今年度、上場以来初の営業減益になる見通し。現に四―六月期の連結営業利益は前年同期比一八%減で、先行きは明るくない状況だ。期待のブロードバンド戦略子会社であるNTTレゾナントも、電力系のネットワーク会社パワードコムが約九百億円の増資で追撃の構えを見せるなかで業績がさえない。 NTTは、「グループを再々編しなければ生き残れない」(NTTグループ幹部)との悲鳴も漏れてくる状況に追い込まれている。

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