今回の舞台となったインド南部・アンドラプラデシュ州は、かつてインド独立後もマハラジャが君臨したハイデラバード藩王国の版図として知られるが、貧困や格差はもちろん、低い農業生産性や児童労働、度重なる干ばつ被害など、インドの農村・地方が抱える後進性や低開発を代表する地域でもある。このためか、SKSをはじめマイクロファイナンス会社の半分近くが集中していると言われる。

 業界初のIPOで大きな論争を巻き起こしたSKSマイクロファイナンスは、その後も新たな激震に見舞われる。同社の役員会は10月、社長兼CEOのスレシュ・グルマニ氏を解任。グルマニ氏がこれに反発して法的手段に訴えたことから、一気にスキャンダルとして世間の耳目を集め、さらには急成長したマイクロファイナンス各社のコーポレート・ガバナンスにも疑問が沸き上がることとなった。

 そして決定的だったのは、同州内でマイクロファイナンス会社から金を借りた農民ら30人が数カ月の間に債務返済に行き詰まり、相次いで自殺したことだった。一部には子供を人質に取るなどの強引な取り立てもあったといい、複数の会社からの多重債務や、返済能力を無視した過剰な貸付けなどがにわかに社会問題化した。

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