国境を跨いだ中朝経済協力の意味

執筆者:平井久志2011年1月19日

 中朝国境の都市、丹東市浪頭で昨年12月31日、厳しい警戒態勢の中で、中朝国境を流れる鴨緑江に新設する橋「中朝(朝中)鴨緑江橋」の着工記念式典がわずか15分間で行われた。この新しい橋の建設は2009年10月に温家宝首相が訪朝した際に最終合意したが、合意から1年2カ月ぶりの着工であった。建設地点をめぐり中朝間で意見調整が難航し、北朝鮮側が周辺道路の整備なども求めたために着工が遅れた。12月31日という年末の着工式は「年を越してはならない」という中朝双方の強い意志の表れであったが、実際の本格的な工事は春からになるという。

 着工式には中国側から李盛霖交通運輸相、胡正躍外務次官補、遼寧省の王ミン共産党委員会書記、陳政高省長らが、北朝鮮側からは金昌龍国土環境保護相、金成基外務次官らが出席した。

 鴨緑江には1940年代に架設された鉄道と自動車道併用の「中朝友誼橋」があるが、自動車道部分は老朽により20トン以上の貨物車両は通行できず、単線のため物流に限界があった。

 新しい橋は現在の橋の約8キロ下流地点に建設され、中国・丹東市の開発区から北朝鮮・平安北道を結ぶ片側2車線の自動車道となる。中国側の浪頭地区は既に高層アパートが建っており、丹東市の新庁舎の建設も計画されている。北朝鮮側は新義州南側の三橋川の長西地区になるという。

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