2050年の世界

執筆者:2011年1月21日

 昨日、2010年の中国のGDPが日本を抜き世界2位になることが大きく報じられました。日本は1968年以来守ってきたナンバー2の座を空け渡し第3位に転落したわけですが、失われた10年あるいは20年と言われてきた日本がよく今まで2位を保っていた、という気もいたします。昨年9月の記事「中国経済の変調――成長構造の老化が始まった」などでも触れていますが、中国経済にも課題は山積しています。

 本日の更新記事は、会田弘継さんの「国際論壇レビュー 台頭する中国と『2050年の世界』」です。世界2位の経済大国となり、軍備を拡張する中国。アメリカを抜いてナンバー1になる時期については様々な説があります。一方、日本はどうなるのか。国内では悲観論しかありませんが、外からの評価はそう悪くないようです。

 本を1冊ご紹介します。一昨年に掲載したフォーサイトのインタビュー記事をご記憶の方もいらっしゃるかと思いますが、2005年に金融危機の到来と、その後の動きを正確に予言して注目を集めた気鋭の経済学者、ラグラム・ラジャン氏の著書『フォールト・ラインズ 「大断層」が金融危機を再び招く』が新潮社から発売されました。本書は昨年アメリカで
「Business Book of the Year 2010」を受賞。日本では金融危機の原因を資本主義の暴走や米国の過剰消費体質のせいにする人が多いようですが、問題はそれほど単純ではありません。著者は米国内の格差、輸出国と輸入国のインバランス、各国の金融システムの違い、金融セクターを暴走させるインセンティブ構造など、世界に存在する様々な断層線(フォールト・ラインズ)を指摘し、これらが危機の真の原因であり、問題が解決されない限り危機はまた訪れるといいます。本書では、いくつもの隠された断層線をわかりやすく浮き彫りにすると同時に、断層線を埋めるために何をすればいいのか、その方向性と具体的な改革案が提言されています。フォーサイトが2009年に行なったインタビュー記事も無料公開しますので、ぜひご覧ください。

 

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