リビア情勢への中南米の反応

執筆者:遅野井茂雄2011年2月24日

 内乱の様相を深めるリビア情勢に対する中南米諸国の反応が出揃った。デモ隊に対し無差別に攻撃する暴力行為を非難する国がほとんどであり、中でもペルーはリビアとの外交関係の一時断絶を表明したと伝えられている。

 その中で、反米のベネズエラ、キューバ、ニカラグアの反応は、波及することを意識してか、興味深い温度差をみせている。

 一時、英国外相によってカダフィ大佐の「ベネズエラへの亡命」情報が流されたベネズエラは、「帝国主義の介入なしに平和的解決を要望する」との外相談話を出すにとどまり、慎重な対応となっている。2009年にリビアを訪問するなど活発な中東外交を展開し、カダフィ大佐を「兄弟」と呼んできたチャベス大統領だが、「カダフィとの連帯」を叫ぶには至っていない。カダフィ大佐は、同年9月には国連総会出席で物議をかもした後、初めて南米に足を踏み入れ、ベネズエラのマルガリータ島で開催された第2回南米アフリカ首脳会議(ASA)において、北の侵攻に対抗するため、NATO(北大西洋条約機構)に匹敵する南半球版の機構創設を提案した(なお第3回同首脳会議は今年リビアで開催される予定となっており、中東北アフリカの混乱は、先に報告した南米アラブ首脳会議の行く末とともに、南米のアフリカ外交にも影響を与えている)。

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