先週初めまでワシントンに行ってきた。昔、国務省情報調査局(INR)にいた古い友人を郊外の老人ホームに訪ねた。昨年日本人の奥さんを亡くし、元気がなかったが、私の顔を見て「古き良き時代だった」と涙を流した。
 あまり会話にならなかったが、彼は一つ気になることを口にした。その老人ホームについて「インテリジェンス・コミュニティの施設でね」と言ったのである。やはり米国のインテリジェンス・コミュニティは最後まで面倒見がいいなと感心しただけで、詳しいことは調べなかった。この老人ホーム、メリーランド州シルバースプリングにあり、医者や看護師が待機していて設備が良く親切で、元スパイの終の棲家という感じは特にしなかった。
 だが一つ、ある疑問が浮かんだ。彼は自分をINR所属と言っていたけど、INRの日本駐在なんていうのはちょっとおかしい。本当は、米中央情報局(CIA)要員だったかもしれない。

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