リビアを「反面教師」とする北朝鮮

執筆者:平井久志2011年4月4日

 日本が東日本大震災で未曾有の被害を受け、福島原発災害の安全確保の見通しが立たないという深刻な状況の中で、中東でも連日、熾烈な事態が続いた。世界の関心が3月11日の東日本大震災に集中する中で、3月17日に飛行禁止空域設定の国連安全保障理事会決議が採択され、3月19日(日本時間20日未明)に仏、英、米中心の他国籍軍による攻撃が始まった。内戦状態のリビアに対する米欧の軍事介入は中東だけでなく、世界に大きな意味を持つが、東日本大震災のすさまじい被害状況の中で、日本ではその意味が十分に論じられているとはいえない状況だ。

 筆者は本サイトの「リビアを見つめる金正日の心象風景」(3月8日)で「北朝鮮がさらに『核』に固執する要因にならないか危惧するところである」と指摘したが、この危惧が現実のものとなっている。

 北朝鮮外務省は、多国籍軍の軍事介入の2日後の3月22日午後に朝鮮中央通信の質問に回答する形で声明を発表した。
声明は「現在のリビア事態は、国際社会に深刻な教訓を与えている。過去、米国が騒々しいまでに好んだ『リビア核放棄方式』とは、まさに『安全担保』と『関係改善』という甘言で、相手を欺き武装解除をした後、軍事的に襲い掛かる侵略方式であることが世界の面前で露呈した」とした。

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