茶会党勢力を意識したギングリッチの出馬表明

執筆者:足立正彦2011年5月16日

 今月11日、ニュート・ギングリッチ元下院議長(ジョージア州第6区選出)が、インターネット・ビデオやツイッターで2012年共和党大統領候補指名獲得争いへの出馬を正式に表明した。今月初旬、ギングリッチはテキサス州の著名な選挙キャンペーン・ストラテジストであるロブ・ジョンソンを自らの選対本部長に迎え入れていたために、出馬表明は時間の問題であった。ギングリッチは選対本部を地元ジョージア州アトランタに設置して選挙キャンペーンを本格化させることになる。ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事やティム・ポーレンティー前ミネソタ州知事らは既に大統領準備委員会を設立し、政治資金集め等の活動を開始していたが、共和党大統領候補有力者として正式に出馬表明したのはギングリッチが最初となった(ギングリッチの出馬表明から二日後の今月13日にはロン・ポール下院議員=テキサス州第14区選出=も共和党大統領候補指名獲得争いへの出馬を正式に表明)。

 ギングリッチは大学教授を経て1978年中間選挙でジョージア州第6区選出下院議員に初当選し、10期20年間下院議員を務めた。1994年中間選挙では共和党下院院内幹事として選挙公約である「米国との契約(“Contract with America”)」を有権者に提示して下院で54議席を増大させ、ドワイト・アイゼンハワー大統領時代の1954年中間選挙以来実に40年ぶりに共和党を下院で多数党の立場に復帰させ、「共和党革命(“Republican Revolution”)」と呼ばれた。だが、その後、ギングリッチは下院議長としてビル・クリントン大統領との予算対立に敗れ、1997年には倫理違反に問われ、翌98年11月に実施された中間選挙での敗北後に下院議長を辞任した。

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