キャンペーン態勢が瓦解したギングリッチ

執筆者:足立正彦2011年6月13日

 共和党有力政治家の中では最初に2012年共和党大統領候補指名獲得争いへの正式出馬表明を行ったギングリッチ元下院議長。それから1ヶ月も経過しない今月9日、ギングリッチの選挙キャンペーン態勢は根幹から大きく揺らいだ。選対本部長のロブ・ジョンソン、側近中の側近であり、報道担当官のリック・テイラーをはじめとする主要な選対本部幹部や、「序盤州」であるアイオワ、ニューハンプシャー、サウスカロライナの各選挙責任者らがギングリッチの選挙キャンペーンから一斉に離脱したのだ。

 ギングリッチ自身はフェイスブックで今後も選挙キャンペーンを継続していく方針を直ちに表明した。だが、「司令塔」である選対本部の殆どの幹部が辞任した後で、再び選挙キャンペーン態勢の立て直しを図ることはもはや至難の業である。選対本部幹部らの離脱前からギングリッチの一連の失言等により支持率は低迷し、政治資金集めにも支障が生じていたため、今回の選対本部幹部らの一斉離脱は致命傷になることは避けられない。

 ギングリッチは先月11日の出馬表明後、アイオワ州での選挙キャンペーンを開始したが、その後の二週間は選挙キャンペーンから殆ど姿を消していた。メモリアルデー休暇中はワシントン近郊で過ごし、その後、カリスタ夫人とともにギリシャ旅行に興じるなどした。2ヶ月先の8月13日にアイオワ州の共和党員による大統領模擬投票(ストローポール)が予定されているにもかかわらず、ギングリッチは7月上旬にならなければアイオワ入りしない方針であった。ギングリッチが共和党大統領候補の指名獲得に向け真剣に取り組む意欲があるのか選対本部幹部らが疑念を抱く中、陣営内では選挙戦略を巡る対立が深刻化し、今回の選対幹部らの一斉離脱につながった。

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