中国の次期国家主席就任が有力視されている習近平副主席が、イタリア訪問に続き、6月4日から13日まで、キューバ、ウルグアイ、チリの3カ国を歴訪し、国家主席並みの歓迎を受け、2010年代の新たな協力関係の礎を築くとともに、近年急増する中南米での中国の存在の大きさを改めてアピールした。同副主席としては2009年2月、メキシコ、ジャマイカ、コロンビア、ベネズエラ、ブラジルを訪問して以来2度目の中南米歴訪である。

 2004年のチリ・サンチアゴでのAPEC首脳会議出席を機に、胡錦濤主席は、ブラジル、アルゼンチン、キューバを歴訪、中南米における中国の外交攻勢を印象づけた。4年後の2008年11月5日、中国政府はペルーでのAPEC首脳会議に先立ち、中南米外交に関する政策文書(白書)「中国のラテンアメリカ・カリブ政策(“China’s Policy Paper to Latin America and the Caribbean”)」を公にし、多極化する世界と経済グローバル化の進展する中で、中南米諸国とのウィンウィン関係を構築するために、政治・経済・文化・軍事面での包括的協力関係の強化・推進を謳いあげた。その下で翌2009年には米州開発銀行(IDB)の域外加盟国として加盟を果たし、中南米の地域開発への拠出国(3. 5億ドル)として欧米諸国、日本、韓国と肩を並べた。

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