共和党内の「内向き志向」が鮮明に

執筆者:足立正彦2011年7月4日

 米国の財政赤字が増大する中、共和党内では財政保守派勢力の台頭が目覚ましい。対照的に、米国の対外的コミットメントの必要性を訴える共和党内の対外的タカ派勢力が後退しつつあるように映る。10年前の米国同時多発テロ事件発生後のジョージ・W・ブッシュ政権下の共和党には、対外的コミットメントを支持するコンセンサスが形成されていた。だが、財政が悪化する中、従来までの共和党内に存在していた対外的コミットメントを支持するコンセンサスにも微妙な変化が生じてきている。2012年の共和党大統領候補指名獲得争いに出馬している大統領候補の立場と4年前の政治サイクルでの大統領候補のそれとを比較しても変化は顕著である。

 2008年共和党大統領候補選出プロセスの共和党大統領候補の中で、財政に対する戦費負担を理由にアフガニスタンやイラクからの撤退を訴えた候補はリバタリアン志向のロン・ポール下院議員(テキサス州第14区選出)だけであった。他方、共和党大統領候補指名を獲得したジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州選出)をはじめ、フレッド・トンプソン元上院議員(テネシー州選出)、ルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長など多くの候補が積極的な対外的コミットメントの必要性を訴えていた。

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