まだまだボランティアが足りない

執筆者:出井康博2011年8月1日
陸前高田市の海岸近くに集められた瓦礫の山(写真はすべて筆者撮影)
陸前高田市の海岸近くに集められた瓦礫の山(写真はすべて筆者撮影)

 東日本大震災の被災地では、がれきの撤去作業が遅れているという。がれき撤去は復興に向けた第1歩だが、実態はどうなのか。暑い夏を迎え、現場では誰が、どんな作業をしているのか。それを確かめようと、筆者は7月中旬、2泊3日のボランティアでがれき撤去に参加した。  人口の10分の1近い約2000人が犠牲になった岩手県陸前高田市。津波で壊滅した中心街には今、病院やホテルなど大きな建物の残骸が残るだけだ。大半が更地となり、あちこちに高さ10メートルにも達するがれきの山ができている。一見、がれき撤去は順調に進んでいるようだ。しかし、中心街を少し離れると、全く違った風景に出会う。  筆者の作業現場となった一帯もそうだ。中心街から小高い丘を1つ越えた山間の集落には、押し潰された工場や自動車がいまだに無残な姿を晒していた。道路脇や民家の周辺にもがれきが散乱していて、中心街とは明らかに状況が違う。  現場近くでバスから降り、まず感じるのが腐臭だ。その臭いは、作業を行なう山裾に近づくほど増していく。地元名産の「気仙杉」の大木が並ぶ山の麓には、津波で打ちつけられた大量のヘドロが溜まっている。ヘドロには大きな木の柱や家具、衣類、金属製の道具類や漁網などが埋まっていて、まるでゴミ捨て場だ。それらを手作業で掘り出して1カ所に集めていくのが、その日のボランティアの仕事だった。

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