「強盛大国」の看板を替えた北朝鮮の対米攻勢

執筆者:平井久志2011年8月3日
7月28日、ニューヨークでの米朝協議1日目の会合を終え、ホテルに戻る北朝鮮の金桂冠第1外務次官(右)(C)時事
7月28日、ニューヨークでの米朝協議1日目の会合を終え、ホテルに戻る北朝鮮の金桂冠第1外務次官(右)(C)時事

 朝鮮半島情勢が対決局面から対話局面へと転換の兆しを見せ始めた。関係各国は、北朝鮮が核廃棄に応じることはまずないという悲観的な認識を共有しながらも、6カ国協議再開まで進むことができるのかどうかを当面の課題としている。  北朝鮮の核問題、対米問題を担当する金桂冠(キム・ゲグァン)第1外務次官が訪米し、ニューヨークで7月28、29の両日、米国のボズワース北朝鮮担当特別代表と米朝協議を行なった。米朝の本格的な協議はボズワース代表が2009年12月に訪朝して以来、1年7カ月ぶりのことだ。  協議後、ボズワース代表は「北朝鮮が約束を守る建設的なパートナーとして6カ国協議再開を支持するという点を行動で示せば、対話再開、米国との関係改善、さらに大きな枠での地域の安定に向けた道が北朝鮮に開かれている」と指摘し「(6カ国協議)再開のための次の措置を決める前に、米国は韓国や他の協議参加国と緊密に協議する」と述べた。米朝協議の続行には北朝鮮の何らかの行動が必要とし、6カ国協議再開も韓国などとの協議を経て、と留保的な姿勢を示した。  一方の金次官は「非常に建設的で実務的だった。今後も引き続き論議していく」と米朝協議の継続に積極姿勢を示した。  要するに、米朝双方ともに協議結果について内容を明かさず「建設的で実務的だった」という外交的修辞を示しただけであった。

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