真実を語る良心

執筆者:徳岡孝夫2011年8月10日

 上海より少し南に当たる。中国・浙江省温州市の温州南駅まで、あと10キロほどの地点を走っていた中国高速鉄道D301列車が、先行するD3115列車の後尾灯を認め、急ブレーキをかけるヒマもなく(かけたか否か証言が分かれる)衝突した。7月23日20時38分のことである。  最初、新華社は「死者35人、負傷者200人以上」と伝えた。むろん新華社のことである。×省×市にデモがあったと報じても、新華社の示す数字には客観性がない。「×千人くらいのものと心得よ」という中国共産党中央の願望を示しているに過ぎない。    D301列車は先頭の4両が脱線して高架橋から垂れ下がり、先頭車両は地面に着いている。追突されたD3115の最後尾車両も、かなり激しく壊れているという。  私は地名事典を見た。温州は人口112.2万人、貿易港のある町だと出ている。まあかなり賑やかな町らしい。次に私は日本の新幹線の車内を思い出してみた。A席からE席までが横に並んで、一両に15番か16番まである。すなわち一両に80人で、それが東海道新幹線なら16号車まであるから1列車に乗る乗客は1200人程度である。グリーン車の乗客数は、ちょっと少なくなる。

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