ロシアを巻き込んだ金正日の「生き残り戦略」

執筆者:平井久志2011年8月31日
8月24日に会談した金正日総書記とメドベージェフ大統領 (C)EPA=時事
8月24日に会談した金正日総書記とメドベージェフ大統領 (C)EPA=時事

 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記は8月20日から特別列車でロシアを訪問し、24日に東シベリアのウランウデ郊外でメドベージェフ大統領と会談。さらに、25日に内モンゴル自治区の満州里から中国領内に入り、黒竜江省のチチハル市と大慶市を訪問、中朝国境の中国側都市、吉林省集安市を経て27日、北朝鮮の慈江道(チャガンド)満浦市(マンポシ)に帰国した。金総書記の列車旅行はロシア訪問だけで4700キロを超え、朝鮮中央通信はその総旅程を「2万余里(約8000キロ、朝鮮の1里は約400メートル)」と報じた。5月の6000キロに及ぶ中国訪問に続く「長征」であった。  朝鮮中央通信は8月28日未明、後継者の金正恩(キム・ジョンウン)党中央軍事委副委員長や実妹の金慶喜(キム・ギョンヒ)党中央委部長ら党や軍の幹部が国境の駅で温かく金総書記を出迎えたとし「社会主義祖国の富強・繁栄史に記される不滅の対外活動業績を積み上げ、祖国に無事に帰国した金正日国防委員長にすべての軍隊と人民の一様な心を込めて謹んで祝賀の花かごを差し上げながら外国訪問成果を熱烈に祝った」とその訪問を称えた。

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