不人気に苛まれた前任者のあと、ということもあってか、上々の支持率で船出をした野田新政権だが、内閣発足9日目に経済産業相が辞任に追い込まれるなど、先行きには不透明感が漂う。改革派官僚の古賀茂明氏(経済産業省大臣官房付、写真)は、新政権をどう見ているのか。 ――選挙期間はわずかでしたが、民主党代表選では一応の政策論議もなされました。それを踏まえ、野田新政権の政策について、どのように評価しますか。古賀 原子力発電所は「安全なものは動かしましょう」という経済産業省のスタンスと同じですし、今のところ、野田さんの政策ではっきりわかっているのは、増税だけです。しかし、増税をすると言っても、結局それは庶民と企業から取るしかありません。経済が成長しなければ、取りようがない。ところが、その経済成長の道筋が全く見えません。増税の原資を作るための仕組みがない。今はたとえ消費税を1%上げたとしても、税収増は2.5兆円以下です。一方、歳入欠陥は44兆円もある。これを消費税増税で埋めるとなれば、20%くらい税率を上げなければなりません。しかも、社会保障費は毎年1兆円ずつ増えていく。これを増税だけで賄うとなれば、日本の経済は破綻します。それを回避するためには経済の成長戦略が不可欠なのですが、今のところ、その方策は全く見えてきていません。

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