東アジアの平和

執筆者:2011年10月3日

 ソウルから帰ってきた。10年ぶりのソウルだった。先般韓国で停電騒ぎが起ったとき、イ・ミョンバク大統領は「途上国並みの対応じゃないか」と電力公社を叱ったというが、なるほど、ソウルは先進国の首都という相貌をしている。

 日韓経済人会議は今回で43回目。日本側の日韓経済協会は創立50周年、韓国側の韓日経済協会は創立30周年だそうである。日本と韓国のながい錯綜した歴史を、知るかぎりで思い返してみても、こんにちの姿は先人の予想をはるかに超えたものだろう。造船業も家電や通信業も、もはや韓国の優位は動かない状況にある。リスクをとって次々とFTAをまとめていく韓国に、日本企業の工場が移転されていく。震災後この動きは加速された。日韓両国経済の産業連関統合化が構想されるまでになっている。

 日韓経済人会議は日本語と韓国語のみの同時通訳で進められるから、韓国語の映像が出る左翼と日本語の映像が出る右翼とに会場が二分されていて、私が直接お話しできた韓国人参加者は、パネルディスカッションで一緒に登壇した人々に限られてしまった。「個人的交流の場をもっとつくろう」という意見が会場から出ていたが、たしかに、英語で話しかける雰囲気にはなっていない。それでもたいへん刺激的だった。

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