世界華商大会から消えた「タブー」

執筆者:樋泉克夫2011年10月12日

 シンガポールで第1回大会が開催されてから20年を経て、第11回世界華商大会(WORLD CHINESE ENTREPRENEURS CONVENTION)が10月5日から8日まで、シンガポールで開催された。中国、香港、台湾、ASEAN各国を含む32の国と地域らの3000人余の参加者に地元シンガポールからの1000人余を加え、総勢で4000人余。2001年に南京で開催された第6回大会の5000人余に次ぐ大会史上2番目の規模である。

 主賓として挨拶に立ったリー・シェンロン(李顕龍)首相は、最近の中国経済の「神速な発展」に加え、世界各地の華人企業家の中国経済への貢献度の大きさと、彼ら相互の連携が国際的に無視し得ない経済的影響力を持つに到ったことを讃えていた。大会の性格からみて“予定調和のご挨拶“といえばそれまでだが、発足から数年間の90年代前半の大会を取り巻く環境から考えれば、やはり隔世の感は否めない。

 大会発足の大きなキッカケは、華人企業家が資本と技術と経験を中国に持ち込むことで、天安門事件で頓挫しかけた開放政策を側面支援したいというものであった。華人企業家が中国市場に大きな商機を求めたからであることは、もちろんではあるが。

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