10月26日にイエメンの首都サナアで大勢の女性がヒジャーブ(ヴェール)を焼いて気勢を挙げた。日本の感覚では意味や方向性が分かりにくいこの動きに対して、『イエメン・タイムズ』紙の解説は要を得ている。
http://www.yementimes.com/defaultdet.aspx?SUB_ID=34729

 この報道によれば、イエメン南西部の大都市タイッズ(Ta‘izz; Taiz)で10月16日に、反政府抗議行動に参加していたアズィーザ・マハジュリー(Aziza Al-Mahajri)という女性が共和国警護隊(Republican Guard=サーレハ大統領の息子アハマド・サーレハに指揮される、最も政権に忠誠心の高い精鋭部隊)に銃撃され死亡したことに抗議して、約800人の女性が首都サナアに集まり、ヒジャーブを燃やして抗議したという。

 集まった女性たちは、自らはヒジャーブを被ったまま、集めてきたヒジャーブを焼いているので、「ヒジャーブを脱ぎ捨てる」タイプの「女性解放」運動ではない。かといってイスラーム主義や伝統主義というわけでもない。むしろイエメン社会の部族的構成を逆手に取って、「部族勢力(の男性)に奮起を迫る」という主張を掲げ、膠着した状況を動かそうという興味深い試みになっている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。