日朝戦で大合唱された「金正日を称える歌」

執筆者:平井久志2011年11月22日

 11月15日に平壌の金日成競技場で行なわれたサッカーワールドカップ(W杯)ブラジル大会アジア3次予選第5戦の「日本対北朝鮮戦」は1-0で北朝鮮が勝利して終わりましたが、この試合をめぐる様々な出来事は、まさに現在の日本と北朝鮮の関係を浮き彫りにするものでした。

 本来のスポーツ精神でいうならば、アウェー戦でも遠征をする側のチームのサポーターがある程度いることがフェアーな雰囲気をつくるために必要なことです。しかし、日本は北朝鮮に独自の経済制裁を加えています。貿易や北朝鮮船舶の日本入港も禁止、日本の公務員の訪朝も原則禁止です。一般人の訪朝もなるべく自粛というのが日本政府の姿勢です。

 結果的には訪朝した日本人はサポーター約150人、報道陣10人にテレビ中継のテレビ局スタッフという水準に留まってしまいました。このほかでは邦人保護のために外務省職員など公務員十数人も訪朝しました。対する北朝鮮の観衆は約5万人でしたので、極めて特殊な雰囲気の中で試合は行なわれました。

 日本政府からすれば、経済制裁をしている中で、大勢の日本人に訪朝されては困るという事情があったのかも知れませんが、スポーツと政治を区分することも可能だったと思います。

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