「ミャンマーの春」は本物か

執筆者:深沢淳一2011年11月30日
矢継ぎ早に改革政策を打ち出すテイン・セイン大統領(c)AFP=時事
矢継ぎ早に改革政策を打ち出すテイン・セイン大統領(c)AFP=時事

 ミャンマーで起きている民主化への動きは、さらに拡大を続けている。11月中旬にインドネシア・バリ島で行なわれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の一連の首脳会議で、ミャンマーは2014年のASEAN議長国就任が認められ、国際社会への本格復帰に向けて大きく踏み出した。一方、軍政時代に弾圧を受け続けた民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさん率いる「国民民主連盟(NLD)」は次回の国会補選に参加し、議会内から民主化に関与していく道を選択した。ミャンマーの民主化は新たな局面を迎えようとしている。

民主化は「望み薄」と見られていたが

 ミャンマーで急速な変化の動きが現れ始めたのは、今年8月だ。軍政が定めた民政移管に向けたロードマップ(行程表)のプロセスは、昨年11月の総選挙を経て、今年3月の民政発足で完了した。しかし、上下両院は軍政時代の大政翼賛組織を事実上引き継いだ与党・連邦団結発展党(USDP)の議席と、選挙手続きを経ず軍部に自動的に与えられる「軍人枠(議席の25%)」で両院とも8割以上を占める。このため、民政移管後も実態は軍政と変わらず、民主化の進展は望み薄だと見られていた。

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