オリンパス「上場廃止」「損害賠償」の行方

執筆者:鷲尾香一2011年11月30日

 20年以上にわたる有価証券報告書等の虚偽記載が発覚したオリンパス。その事件の真相解明はまだまだこれからだが、同社がこれから迎えるであろう2つの大きな問題について考察する。

証券監視委と東京地検特捜部

11月8日の会見で頭を下げるオリンパスの高山修一社長 (C)AFP=時事
11月8日の会見で頭を下げるオリンパスの高山修一社長 (C)AFP=時事

 第1は上場廃止問題。  企業の有価証券報告書等の虚偽記載について調査を行なう窓口となるのは、証券取引等監視委員会(以下、証券監視委)だ。同委員会は金融商品取引法(以下、金商法)に則して、違反企業の処分を検討することになる。  証券監視委で経済事件の調査を担当する部署には、「開示検査課」と「特別調査課」がある。 「開示検査課」は文字通り企業の開示情報の検査などを行ない、金融庁に課徴金処分などを勧告する。一方、「特別調査課」は犯則事件の調査などを行ない、検察庁に刑事告発をする。  当然のことだが、現在の有価証券報告書に粉飾が見つかれば、法人としてのオリンパスも金商法違反の罪に問われ、刑事罰を受ける可能性がある。この場合、金商法第197条で、「虚偽の記載のある有価証券報告書を提出した者」に対して「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」と規定されている。さらに、法人については第207条で「7億円以下の罰金」となっている。  だが、証券監視委関係者によると、「オリンパスは開示検査課の担当」となっており、法人としてのオリンパスは課徴金など行政処分で済まされる可能性が大きい。これは、粉飾決算については過去の有価証券報告書が訂正される見込みで、2012年3月期第1四半期報告書には虚偽記載がないと見られているからだ。  一方、東京地検特捜部の狙いは、経営陣と“飛ばし”に関与したと見られる外部の協力者にあり、「オリンパスの粉飾決算そのものではなく、損失隠しのために行なった企業買収は投資家を騙した金商法第158条の偽計取引にあたるとして、金商法違反の刑事事件として逮捕する方針」(証券監視委関係者)のようだ。この場合、東京地検特捜部は、金商法違反だけではなく、商法違反なども視野に入れることになる。

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