米国務省の政軍関係担当次官補(Assistant Secretary of State for Political-Military Affairs)のアンドリュー・シャピーロ(Andrew J. Shapiro)がアラブ諸国を訪問している。国務省のプレスリリースによれば12月9日から15日にかけて、リビア、エジプト、サウジアラビアを歴訪するという。
http://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2011/12/178600.htm

 政軍関係担当次官補は、アラブ諸国の激変を受けて重要性を増すポストだ。大規模デモの圧力を受けて政権が揺らいだアラブ諸国において、軍の動向はその帰結に決定的な意味を持った。チュニジアでは軍が中立を保ち、ベンアリー逃亡後は残存するベンアリー側近部隊を制圧した。これが早期の安定化につながった。エジプトでは軍がデモに発砲しないと宣言したことが反体制抗議行動を勢いづけ、軍による治安維持に支えられた移行過程に入った。いずれも軍が制度として一体性を保った。

 対照的にリビア、イエメン、シリア、バーレーンでは、軍が強固に政権側についてデモ隊への激しい弾圧が行われた。リビアでは軍が分裂して内戦に陥った上で政権が崩壊した。イエメンやシリアでも同様の動きが進むのか、注目されている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。