新年のあいさつで、中国のメディアで働く古い知人に2011年は何が中国人を最も変えた出来事だったかと聞くと、「それは、微博と高鉄だよ」という返事がありました。

 このうち、高鉄は、高速鉄道、つまり中国の新幹線のことで、上海の脱線事故を指しています。一流、最先端、国の誇りと思っていたものが、これほどもろいとは。中国人の国家への信頼が大きく揺らいだからです。そして、ここではもう一つの微博(ウェイボー)、つまり、中国のツイッター、あるいはミニブログのことを書きます。

 最近は日本でも中国の微博についてかなり知られるようになり、芸能人や中国進出した企業なども自分のアカウントを持っています。私も個人と会社(朝日新聞の中国語発信部門の事業の一環として)の二つのアカウントを使って微博をやっていますが、会社の方はユーザーが60万人という巨大アカウントに半年で成長してびっくりしました。

 微博は中国の主要なポータルサイトによって運営されていますが、「新浪微博」や「QQ微博」はそれぞれユーザーが億単位に成長して、現在、中国での延べ微博ユーザーは6億人とも7億人とも言われています。

 さて、「微博が何を変えたのか」とメールを返してみると、その友人は「党や政府を通じた情報しか得られなかった中国の民衆が、情報発信や情報獲得の新しい手段を手にしたことだ。いままで一方通行だった中国の情報環境が、微博によって双方向になったんだ」と答えてくれました。

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