昨年末に北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が突然死亡し国際社会の関心はすっかり北朝鮮の方に向いた。しかし、昨年10月のソウル市長選での朴元淳(パク・ウォンスン)氏の当選以後、韓国では、無党派層の台頭や、政府・与党でスキャンダル発覚が相次ぐ中で、政界再編が進むなど大きな変化が起きている。

大統領実兄の秘書逮捕

 与党・ハンナラ党はソウル市長選での大差をつけられての敗北で、党の存廃を掛けた出直しを迫られた。そこに同党所属の崔球植(チェ・グシク)議員の秘書がソウル市長選に際して中央選挙管理委員会のホームページにDDoS(分散型サービス拒否攻撃)を仕掛けていた事件が発覚するという爆弾が炸裂した。今回のソウル市長選では投票所の変更が多く、若い有権者はホームページで自分の投票所を確認して投票に出かけることが多かった。秘書らは選管のホームページを攻撃し、投票所の確認が出来ないようにして投票率を下げれば、ハンナラ党候補に有利になると判断したとみられている。
 こうした危機的な状況の中で、ハンナラ党の改革志向の最高委員3人が党の全面的な刷新を求めて昨年12月7日に辞意を表明した。洪準杓(ホン・ジュンピョ)同党代表はその2日後、党再生への協力が得られなかったとして党代表を辞任すると発表、就任わずか約5カ月で代表の座を降りることを明らかにした。
 これに追い打ちを掛けるように、李明博(イ・ミョンバク)大統領の実兄で与党内の実力者である李相得(イ・サンドク)議員の秘書が企業経営者から政官界工作を依頼されて多額の資金を受け取ったとして同10日に逮捕された。李相得議員は翌11日記者会見し、次期総選挙には出馬しないと表明した。現在の任期をもっての事実上の政界引退表明だった。李相得議員は韓日議員連盟の会長でもあり、大統領の実兄として李政権を側面から支え、大統領特使として外交面でも活躍するなどしていた。「ヒョンニム(お兄さま)」と呼ばれ、隠然たる実力を誇示してきた李議員の引退表明は、李明博政権に取っては大きな打撃で、レームダック化が一層加速した。

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