3月2日のイラン国会議員選挙を直前にした今月25日から3日間、筆者はテヘランに滞在する機会があった。テヘランの北部にはアルボルズ山脈が聳えており、その美しさは非常に印象的であった(筆者撮影の写真参照)。

 

 だが、今、イラン核開発問題は重大な局面を迎えている。今後、イラン国内の核関連施設に対するイスラエルによる武力行使が行なわれた場合、国際原油価格は高騰し、世界経済にネガティブな影響が及ぶとともに、2012年米国大統領選挙への影響も看過することができなくなると考えられる。

 イランは2006年以降国連安保理で採択されたウラン濃縮活動の停止を求める国連安保理決議を無視し、ウラン濃縮活動は平和目的であると主張して継続している(国連安保理がイランに対しウラン濃縮活動の停止を求める決議は、2006年7月31日以来、これまでに6本採択されている)。アハマディネジャド政権は今月に入ってからイラン中部のナタンズにある地下核関連施設で遠心分離機を6000基から9000基に増設し、また、次世代遠心分離機の開発を完了するなど、核開発プログラムをさらに推進していく姿勢を鮮明にしている。だが、イラン国民の間には核エネルギー技術の確立への圧倒的支持があり、コンセンサスが形成されている。

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