北朝鮮は、金日成生誕100周年を記念して、4月に人工衛星と称して、ミサイルの発射を強行すると発表した。「いかなる弾道ミサイル技術を使用した発射」を禁止した国連安保理決議1874に違反するとともに、先の米朝合意の内容を覆すものである。

 北朝鮮が衛星と称する「光明星」は、1998年8月および2009年4月の2回にわたり打ち上げられたが、それぞれの目的および軌道や速度などの基本的諸元が公表されたことがなく、NASAも含めて世界中の誰も「光明星」を確認したことがない。今回も、北朝鮮は、第1段、第2段ロケットの予定落下地点を国際海事機構や国際民間航空機関に通報しているが、衛星の目的や諸元には触れていない。

 以前の打ち上げが北日本上空を通過する「東向き」であったのに対して、今回の最大の特徴は、黄海沿岸からフィリピン沖に向けた「南向き」打ち上げとなることだ。通常、人工衛星を打ち上げる場合には、地球の自転と並行して東向きとする方が、軌道に乗せる速度を得やすく、軌道制御もしやすい。一方、偵察衛星など地球の全域を観測するための衛星は、南北両極を通過して赤道と直角に地球を周回するため、南北方向に向けて発射するのが合理的とされる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。