根本が間違っている「外国人介護士」問題

執筆者:出井康博2012年4月4日
2010年、フィリピンから来日した介護福祉士・看護師候補たち (C)時事
2010年、フィリピンから来日した介護福祉士・看護師候補たち (C)時事

 3月28日、36人の外国人「介護福祉士」が誕生した。経済連携協定(EPA)に基づきインドネシアなどから来日している95人が初の国家試験に挑んだ結果である。合格者は今後、日本に永住して仕事を続けることが許される。  外国人受験者の合格率は38パーセントと、日本人を含む全体の合格率64パーセントと比べて低かった。来日から3年で試験に挑んだ彼らには、日本語が壁となったのは明らかだ。とはいえ、厚生労働省も「予想以上」と認める合格率である。やはり3月に発表された看護師国家試験では、同じくEPAで来日した外国人の合格率は、わずか11パーセントに過ぎなかった。 「予想以上」の合格率には理由がある。今回の介護福祉士の試験では、難しい漢字に平仮名が振られた。そして日本人の合格率も例年より15ポイントほど上がっている。つまり、試験自体の難易度が下がっていたのだ。2009年からEPA枠の外国人が受験している看護師試験では、ほとんど合格者が出ない状況にマスコミなどから批判が相次いだ。介護士までも大半が受験に失敗して強制帰国となれば、送り出し国からも不満が出かねない。そのことを恐れた厚労省が、難易度を操作した可能性が高い。

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