「日本国債バブル」の中で時を刻む財政の爆弾

執筆者:青柳尚志2012年4月26日
消費税に「政治生命を賭ける」と意気込むが(c)時事
消費税に「政治生命を賭ける」と意気込むが(c)時事

 4月23日、10年物日本国債の利回りは0.91%まで低下(債券相場は上昇)した。日銀が27日に開く金融政策決定会合で、追加緩和を決めると見ての動きである。2年物国債の利回りは0.11%と日銀が誘導目標とする翌日物金利の水準(0-0.1%)とニアミス状態。5年物の利回りも0.28%にとどまる。  普通は期間が長くなるごとに金利の水準は高くなる。こうした金利の形状を利回り曲線(イールド・カーブ)と呼ぶが、金融緩和が繰り返されるごとに、期間の短い方から金利は押し潰されるようにゼロに接近してゆく。その形はまるで、残り少なくなった歯磨きのチューブのようだ。  国債のバブル――何年か経ったら、財政破綻間際の長期金利低下は、そう振り返られるに違いない。国債へと金融機関の資金が吸い寄せられるのは他でもない、日本国内にまともな資金需要が存在しないからだ。  企業が海外進出を急ぎ、国内での投資を抑えているため、資金の需要がない。それなのに、日銀はジャブジャブにおカネを供給している。デフレ脱却を約束させられた日銀としては、資金を供給するほかないのだが、需要がないところに供給ばかりを増やしたらどうなるか。  おカネの値段である金利はどんどん低下するほかない。銀行は貸出金利の低下に直面する。一方で資金の調達コストはゼロ以下には下がらないので、銀行の利ザヤ(貸出と預金の金利差)は縮小してしまう。預金を集めて、企業や家計に貸し付けて、利ザヤを稼ぐ。そんな銀行の本業が、国内の融資業務では機能しなくなっているのだ。

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