「尖閣諸島を都の予算で購入する」と石原都知事がアメリカで発言するや、日本の与野党やメディアは、「大英断」との喝采から「知事の独断は許さず」「反中暴挙」との批判まで、様々な反応を見せた。当然、北京はすぐさまに反発する。尖閣問題は日・中・台にかかわる領土問題ではあるが、「もう1つの中国」と位置づけられる海外の華人社会にとっても、両岸統一問題と同じように看過できない重大関心事でもある。尖閣問題を考えるうえで、時に彼らの世論の動向を見ておくことも必要だろう。

 そこで、タイの代表的華字紙である『世界日報』(4月24日)に掲載された「中日両国は共にアメリカの術中に嵌らぬことを明確に知るべきだ」と題された社説をみておきたい。

 
――日本の首都・東京都の知事である石原慎太郎は16日、訪問中のワシントンで突然、東京都政府が東京都の経費を使って釣魚島を購入する、すでに進めている民間所有者との基本協議が結ばれた暁には東京都が釣魚島防衛の全責任を担うと提言した。

 こういった物言いは、口にすればするほどにバカバカしくなるものだ。これまで日本は口を開けば釣魚島は日本領といってきたのではなかったのか。なぜいま東京都政府が公金で民間人から購入し、敢えて正式に釣魚島の所有権を主張しなければならないのか。

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