中国当局が盲目の人権活動家、陳光誠氏(40)の米国留学を認めた。事実上の亡命承認とみてもいいだろう。なぜ、これほどスピーディに陳氏の希望を受け入れ、出国を認めたのか。

 2月の習近平中国国家副主席訪米と5月の米中戦略経済対話という重要行事を挟んで、前重慶市トップ、薄熙来氏失脚に絡む王立軍元同市副市長の米総領事館駆け込み事件、そして米大使館による陳氏の保護と難問が続いた。

 両事件とも、明らかに中国公安当局の大失態であり、米国は「政治的ダイナマイトに相当する」(ワシントン・ポスト紙)情報を得た。だが、オバマ米政権は中国の失態に付け込んで情報をリークするような手法を使わなかった。それに対して中国は、善意を示した可能性がある。

 王氏は成都の米総領事館に駆け込んだ際、薄氏夫妻の英国人実業家ニール・ヘイウッド氏殺害への関与を示す文書を携行していたと伝えられ、米総領事館員3人が王氏をデブリーフィングした。その内容は米情報コミュニティ内でシェアされたとみられる。

 陳氏は自宅軟禁されていた山東省臨沂市東師古村の家から脱出、民主化運動支援グループの助けを得て当局の監視の目をかいくぐり約550キロ離れた北京で米当局者と接触、大使館施設に入った。この間、中国側は監視網の穴や抜け道など重大な欠点を晒した。

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