オバマ大統領「同性婚容認」の政治的計算

執筆者:足立正彦2012年5月11日

 今月9日、オバマ大統領は米ABCニュースとのインタビューの中で、同性同士のカップルが結婚できることを支持するとの考えを個人的見解として明らかにした。オバマ大統領は、2004年にイリノイ州選出の連邦上院議員選挙に出馬した当時、結婚は男女間の神聖なものというのが自らの宗教的信条であるとの見解を示していた。また、2008年大統領選挙キャンペーン当時も、民主党大統領候補として、同性同士のカップルにも結婚した夫婦と同等の法的権利が付与されるべきであるとの「シビル・ユニオン(“civil unions”)」に対しては支持する立場を明らかにしていたが、同性婚の容認にまでは踏み込んでおらず、当時は反対姿勢を示していた。

 オバマ大統領はこのような従来までの方針を転換し、同性婚を容認する初めての米国大統領となった。大統領選挙キャンペーンでリベラル派の支持を固めることができる一方、「接戦州(“swing states”)」などで保守層の猛反発を受けることが必至の「両刃の剣」で、非常に大きな政治的賭けと見られている。オバマ大統領は何故このタイミングで同性婚を容認する姿勢を明確にしたのであろうか。

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