浮上した「韓国への戦術核再配備」の衝撃

執筆者:平井久志2012年5月16日

 米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」は5月11日、米下院軍事委員会が同9日に全員会議で、韓国を念頭に西太平洋で戦術核再配備や通常戦力の増強が必要と指摘する条項を盛り込んだ「2013国防授権法修正案」を可決したと報じた。米下院でのこの修正案可決で、韓国への戦術核の再配備問題が論議になっている。

 この修正案はクリントン国務長官、パネッタ国防長官に対して、北朝鮮が弾道ミサイルと核兵器開発など好戦的な行動で同盟国を威嚇することに対応し、この地域(朝鮮半島)に核兵器を配置することの実効性などについて報告書を提出することを要求した。

 共和党のアリゾナ州選出のトレント・フランクス議員が発議したこの修正案は、賛成32票、反対26票で可決された。共和党議員はランディ・フォーブス議員1人だけが反対し、民主党議員は2人が賛成票を投じた。

 現時点では、オバマ政権が韓国への戦術核兵器再配備に踏み切る可能性は薄いが、共和党を中心に次第に大きくなっている米国の保守的な強硬外交路線は、韓国の保守派、さらには日本の保守派を刺激し、これが中国や北朝鮮に跳ね返る可能性もあり注視せざるを得ない。

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