エジプトで大統領選挙の投票が始まろうとしている。

 第一回投票は5月23・24日で、開票結果は29日に発表され、そこで過半数を得た候補者がいなければ、上位2名による決選投票が6月16・17日に行われる。最終結果は6月21日に発表されることになっている。

http://www.elections.eg/

 筆者はこれに合わせてカイロに来ている。この稿を記しているのは現地時間で投票初日の前夜である。21・22日は投票日前の「静寂期間」として各候補者の公式の選挙活動が禁じられたため、街もメディアも落ち着いている。投票日に学校などが休みになるため、休日前夜の賑わいも伝わってくる。

 2月にも短い期間、カイロに滞在して資料集めをしながら状況を観察した(その際の情勢分析は下記のレポートを参照)。
http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Download/Seisaku/120309.html

  やはり多少無理してでも現地には来てみるもので、少し見て回るだけで、この3か月で経済活動が動き出したのを肌で感じた。

 昨年の5月末にカイロ滞在を切り上げてから、9月に短い期間カイロに戻った際の3か月の間の変化、昨年9月から今年2月の訪問の間に感じた変化はいずれもそれほど大きくなく、様々な困難が噴出して政治も経済も一進一退という印象だった。しかし今回は明らかに様相が異なる。停滞していた工事現場がピッチを上げ、縦横に車が行き交い、店も賑わっている。外国からの観光客も一気に戻ってきた。外国人に付きまとう客引きの類も釣られて戻ってきた。

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