「インテリジェンスに関するもので、コメントは控える」と言いながら、藤村修官房長官は表情を押し殺すように、にんまりした。あの顔がすべてを語っていた。日本のインテリジェンス・コミュニティが挙げた異例の成果だったからだ。

 4月15日の金日成北朝鮮国家主席生誕100年の軍事パレードに登場した新型弾道ミサイルの発射台車両が中国から輸出されていたことを示す証拠を日本が掴んでいたことがメディアの報道で明るみに出た。

 パレード後、新型ミサイルと発射台車両をめぐって、専門家が分析結果を公開。新型ミサイルは飛ばない「ハリボテ」であることで多くの専門家の意見がほぼ一致したことは先月のインテリジェンス・ナウ欄で紹介した(5月17日「北朝鮮『ハリボテ』は『見世物』か『開発段階の模擬ミサイル』か」)。

 発射台車両については「中国製」であることが分かっていた。しかし中国から輸出したことを示す明確な証拠の存在が今回初めて明らかになった。

 どうやら、日米韓の情報当局は中国から北朝鮮への武器輸出をチェックする工作を協力して展開しているようだ。ブッシュ前政権が開始した大量破壊兵器(WMD)の拡散防止構想(PSI)がなお事実上継続しているのかもしれない。

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