オバマ陣営が重視する「16の接戦州」での戦略

執筆者:足立正彦2012年7月2日

 6月26日に共和党大統領予備選挙の最後の争いであったユタ州予備選挙が行なわれ、既に共和党大統領候補の指名獲得を事実上確実にしているミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事がモルモン教徒の牙城である同州の予備選挙で圧勝した。これで、共和党大統領候補指名獲得争いの幕開けとなった今年1月3日のアイオワ州党員集会から半年間に及び行なわれてきた共和党大統領候補指名獲得争いの予備選挙・党員集会日程はすべて終了したことになる。

 ロムニーは、8月27日から4日間の日程でフロリダ州タンパにおいて開催される共和党全国党大会の直前に副大統領候補を発表することになると見られる。そして、党大会最終日の8月30日に共和党大統領候補の指名受諾演説を正式行なうことになっている。今年11月6日の大統領選挙投票日まで残り4カ月余りとなったが、ロムニー、オバマ両陣営にとり有権者の支持を獲得する上でこれからが極めて重要な時期となる。

 最近相次いで公表されている各種世論調査では、バラク・オバマ大統領とロムニーとの支持率がかなり拮抗していることが明らかになっている。世論調査会社ギャラップ社が6月24日から30日まで全米の有権者3050名を対象に電話で実施した最新世論調査では、オバマ支持が47%、ロムニー支持が44%と僅か3ポイント差となっている。世論調査の誤差の範囲が2ポイントであることを考慮すると、両者はほぼ互角の争いを演じていることになる。米国経済が引き続き低迷し、失業率も8%を上回る高止まり状態にある。対外的にも、欧州信用危機の再燃、中国の経済成長の陰りなど、世界経済の先行きにも不透明感が強まってきている。現職大統領が再選を目指すには「逆風」が吹いており、明らかに不利な情勢である。そのため、民主、共和両党の関係者やストラテジスト、米国政治の専門家の間でも、今回の大統領選挙は接戦になるとの見方が多い。

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