インドの大型小売店、いよいよ外資に開放か

執筆者:山田剛2012年7月11日

 低迷する経済を何とかテコ入れしたいインド政府が、外資導入における当面の目玉とされるマルチブランド小売、いわゆるスーパー・百貨店などへの外資導入に向かって本気を出し始めたようだ。政府は昨年秋、一定の条件付きで大型小売店に51%までの外資を認めることを閣議決定したが、既存商工業者や野党、そして連立友党の一部までが猛反対したため事実上の棚上げとなっていた。だが、政治的に一つの節目を迎える7月末の大統領選後にも、外資導入を正式発表するのでは、との観測が急速に強まっている。

 アナンド・シャルマ商工相は6月上旬、「(小売業への外資導入は)すでに閣議決定されている」と発言、反対運動を受けての再協議は必要ない、との見解を表明。中央与党・国民会議派が政権を握る各州はもちろん、野党や第3勢力が担う西部パンジャブ州、北部ビハール州など政治的に重要な大州の州首相(県知事に相当)に相次ぎ書簡を送り、政策への支持を呼び掛けている。

 7月に入ってこうした動きはさらに活発化。バス財務省首席経済顧問は同月8日、連立与党の一角を担いながら小売市場開放に激しく反対するバナジー西ベンガル州首相を念頭に、「外資導入は西ベンガル州のすべての住民にとって利益となる」と発言。とりわけ、農産物を買い上げてもらえる農民が大きな受益者となることを繰り返し強調した。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。