昨年9月9日、建国63周年を記念した閲兵式で、金正日・正恩父子の間で敬礼する李英鎬氏 (C)AFP=時事
昨年9月9日、建国63周年を記念した閲兵式で、金正日・正恩父子の間で敬礼する李英鎬氏 (C)AFP=時事

 金正恩(キム・ジョンウン)第1書記がついに経済改革に踏み出すのではないかという原稿を書き終え、フォーサイト編集部に送った直後の16日朝に、北朝鮮軍部のトップで金正恩氏の最側近とされてきた李英鎬(リ・ヨンホ)総参謀長(党政治局常務委員)がすべての職務から解任されたというニュースが飛び込んできた。  朝鮮中央通信は「朝鮮、李英鎬をすべての職務から解任することを決定」というタイトルで、労働党中央委員会政治局会議が15日に開催され、政治局常務委員、政治局員、政治局員候補が参加した会議では組織問題が取り扱われたと報じた。そして「会議では李英鎬を身病関係で朝鮮労働党中央委政治局常務委員、政治局委員、党中央軍事委副委員長をはじめとするすべての職務から解任することを決定した」と報じた。  16日付労働新聞をチェックすると、こちらでは2面の左肩に「朝鮮労働党中央委員会政治局で」という見出しで報じられていた。ここでは「李英鎬同志」という呼称が使われていたが、朝鮮中央通信報道では「李英鎬」と呼び捨てになっていた。報道のチェックが厳しい北朝鮮で、朝鮮中央通信と労働新聞の表現がこのように食い違うことは珍しい。  党政治局会議のために軍総参謀長の職務が解任されたかどうかについては言及していないが、「すべての職務」としていることからこれも解任されたとみるのが妥当だろう。

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