政府の国家戦略会議フロンティア分科会「平和のフロンティア部会」(部会長・中西寛京大大学院法学研究科教授)は、7月6日、報告書を発表し、「武器使用原則や国連平和維持活動五原則、集団的自衛権や海外での武力行使をめぐる憲法解釈」の見直しを提言した。野党自民党は、7月4日、国際連合憲章に定められた自衛権の行使(集団的自衛権の行使)を可能とする「国家安全保障基本法案(概要)」を策定し、7月6日の総務会で了承している。野田佳彦首相も、消費税増税にめどがついた今、集団的自衛権の解釈見直しに意欲を示しており、それは、ポスト野田政権における政界再編のテーマとなることが予想される。

 集団的自衛権に関する憲法解釈は、日米安保条約の趣旨を、国内の治安にまで米軍が責任を持つ「保護国型」から、外敵への共同防衛という「準対等型」に改めた「60年安保」以降の国会審議を通じて確立されてきた。

 ここで「準対等型」というのは、改定安保条約第5条において、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」を共同で防衛するが、例えば米国本土が攻撃された場合には、日本は米国を防衛する義務を負わないとする、「片務性」を持ったものという意味である。

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