オリンピックをテレビ観戦していると、ついついナショナリスティックになってしまう。日本選手の活躍、それも「長年期待されながらメダルに届かなかった種目」や「かつての得意種目・人気競技での復活メダル」などは見ていて大いに盛り上がった。しかも今回はひそかにインド選手の活躍をチェックする、という楽しみもあった。注目していた選手たちが相次ぎメダルを獲得したこともあり、こちらも大いに満足のいく結果となった。

ようやく本格化するスポーツ振興

 数々の感動的ドラマといくつかの不可解なジャッジによる後味の悪さを残して閉幕したロンドン五輪だったが、インドは13競技56種目に84人の選手団を送り込み、前回・2008年北京大会の3個(金1銅2)を上回る6個(銀2銅4)のメダルを獲得し、スポーツ弱小国にしてはかなりの躍進を印象付けた。

「カースト制度の影響で、もともと他人との身体接触を嫌う」「そもそも、お金ももらえないのに体を動かすなんて」――など、さまざまな理由からインドは長年スポーツ文化の育たない国、と言われてきた。北京大会まで過去110年間の五輪で獲得したメダルはわずか20個、しかもこのうち11個はかつてのお家芸だったフィールドホッケーでのものだ。

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