8月15日、米国のシンク・タンクCSIS(戦略国際問題研究所)から、米国の「知日派」を代表するリチャード・アーミテージとジョセフ・ナイによる「日米同盟-アジア安定の礎」が発表された。報告書は、内向きになった日本に対して、「2流の国になりたいのか?」と問いかけ、「1流国であり続けるにはアメリカとともに進め」とジャブを出している。

 政策課題としてまず触れているのは、原発再稼働の勧めや、エネルギー開発における協力だった。これは、冷戦後の「安保再定義」を意識した日米同盟の今日的意味合いを示そうとする意図だろう。

 政治面では、さらに進んで、日本の困難な政治状況に触れ、韓国との歴史摩擦を解消する努力を求めている。双方に対して、「中国が台頭しているときに、お前らそんなことをしている場合か」と言っている。そんなことは、言われるまでもなく、分かっている。分かっていないのは、李明博だけだ。

 軍事面では、自衛隊が、日本防衛の範囲を超えて、地域の安定のために、米軍と一層密接に協働することを求めている。お互い予算が少ないのだから、作戦から国家目標まで、すべてを統合するほうが得という論理だ。これは、「日本よ、もっと肩代わりしろ」ということでもある。政治から現場に至るインターオペラビリティー(相互運用性)の必要を「金がないから」という理由で説明したら、日本の国会でも笑いものになる。

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