中国最高指導部人事は「胡錦濤の完敗」

執筆者:藤田洋毅2012年11月13日
習近平(右)率いる最高指導部人事で胡錦濤(左)は江沢民(中央)に完敗した(c)EPA=時事
習近平(右)率いる最高指導部人事で胡錦濤(左)は江沢民(中央)に完敗した(c)EPA=時事

「6対1! よくても5対2です。胡さんの完敗、江さんの完勝。それ以外、表現しようがないでしょう」――北京駐在の外交筋は、的確に表現した。  開催中の第18回中国共産党全国代表大会=第18回党大会(18大)を通じて決定する最高指導部、政治局常務委員の顔ぶれが、ほぼ固まったからだ。正式には党大会閉幕翌日の15日に開く第18期中央委員会第1回全体会議(1中全会)で決定、公表する。  トップの総書記に習近平(政治局常務委員、国家副主席)=カッコ内の肩書きは現職、以下同=、来春の第12期全国人民代表大会第1回会議で首相に就く李克強(政治局常務委員、筆頭副首相)が2番手は揺るがない。だが2人以外は、下馬評からどんでん返しの連続だったと複数の関係筋は一致した。

「6対1」

 トップ2人以外は、すべて政治局員から昇格する。ランキングと担当職務は、以下の通りだ。

序列3位 全国人民代表大会常務委員長=張徳江(重慶市書記兼副首相)
  4位 全国政治協商会議主席=兪正声(上海市書記)
  5位 党務担当筆頭書記局員=劉雲山(党中央宣伝部部長)
  6位 筆頭副首相=張高麗(天津市書記)
  7位 党中央規律検査委員会書記=王岐山(副首相)

 今のところ、変更の可能性が残っているのは序列4位のみ。兪正声に代え、李源潮(党中央組織部部長)か劉延東(国務委員・全国政治協商会議副主席)が就く可能性が「わずかに残っている」そう。
 4位に変動がない場合、李源潮、劉延東に汪洋(広東省書記)を加えた「団派(共産主義青年団グループ)ホープ」の3人は、「昇格しないまま職務が変わる」のみ。すなわち李源潮は国家副主席に棚上げされ、劉延東と汪洋は副首相に回る見通し。胡錦濤総書記最大の政治基盤である団派は、「胡に続き団派を率いる李克強首相の周りに集結し李を支える配置」と謳うだろう。しかし実態は、「団派は、まとめて国務院に追いやられる」。李克強を除き、習近平、兪正声、王岐山は江沢民との関係も良好な太子党。張徳江、張高麗、劉雲山にいたっては江べったりの完璧な江沢民派。「6対1」との評価も、無理はないのだ。

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