「アメリカン・モデル」の優位性が問われている(再選を果たしたオバマ大統領)(c)AFP=時事
「アメリカン・モデル」の優位性が問われている(再選を果たしたオバマ大統領)(c)AFP=時事

 今回のアメリカ大統領選挙は「盛り上がり」に欠けるとしばしば指摘された。たしかに「初の黒人大統領誕生」といった歴史的な華はなく、ロックコンサートのような熱気に包まれた集会も少なかった。  しかし、アメリカの相対的な「衰退」が指摘される現在、国際社会に与える影響という点では、今回の選挙は前回以上に重要だったように思う。

揺るがないアメリカの優位性

 もちろん、個々の領域を見た場合、アメリカは必ずしも「衰退」しているわけではない。
 他国と比べて国防予算は断トツで、アメリカ以下の十数カ国の予算総額を上回っている。しかも、たとえば北朝鮮以外に同盟国を持たない中国とは違い、アメリカは50以上の同盟関係を有している。技術的な優位も明らかだ。
 経済規模は中国の倍以上、しかも先進国には珍しく労働人口は増加傾向にある。米ドルを基軸通貨としない合理的な理由はほとんど見当たらない。シェールガス革命が進めばエネルギーの中東依存を低減できるばかりか、ガスの一大輸出国となり、地政学的なランドスケープそのものを大きく変容させる可能性もある。
 ソフトパワーという点では、大衆文化はもちろん、高等教育やイノベーションなどの分野でも世界中から優秀な人材を惹き付け続けている。アメリカに対するもっとも辛辣な批判でさえ、実は、アメリカの大学や知識人から発せられている場合も少なくない。   
 しかも、アメリカ衰退論は何ら目新しいものではない。
 1950年代のスプートニク・ショック、70年代のニクソン・ショック、2000年代のITバブル・ショック、そして2008年のリーマン・ショックなどに呼応しながら、およそ20年前後の間隔でアメリカ衰退論は流行っては消えていった。やや元気がなくなると「衰退」と批判され、少し元気を取り戻すと「帝国主義」や「覇権」と批判されるのがアメリカであり、超大国の宿命なのかもしれない。

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