親中企業・旺旺が主導する台湾メディアの再編劇
2012年11月30日
以前この欄で「台湾からジミー・ライ=黎智英が去った日」という一文を書いたが、黎智英が台湾で経営してきたメディアグループ「壱伝媒」(ネクストメディア)の売却最終案がこのほど公表され、正直ちょっと驚いた。
その買収先の企業に蔡衍明が率いる旺旺が入っていたからだ。これもこの欄で報じてきた件だが、台湾の中国時報グループが、この蔡衍明がオーナーになったことによって、深刻な報道の親中化と私物化が起きている。
買収案の最終内容は以下の通りだった。
台湾プラスチック=34%
中国信託+その他企業連合=34%
旺旺グループ=32%
旺旺は一見、ほかの2つのグループよりも影響力を持たないように見える。しかし、実際には、旺旺はテレビ事業のほうには参画せず、新聞・雑誌事業のみに経営参加するので、新聞・雑誌事業は旺旺に事実上任される形となっている。
壱伝媒傘下の「りんご日報」や「壱周刊」は、スキャンダル路線で人気を集めたが、一方で人権・リベラル思想を重視する黎智英の考えのもと、中国に批判的な報道姿勢をとってきた。一方、旺旺は中国ビジネスで大もうけし、台湾きっての企業に成長した会社だ。蔡衍明は「台湾首富」(台湾トップのお金持ち)となり、中国政府との関係が深いことでも知られる。
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